消費者被害は、事業者と消費者との間の格差によって起こるというのが特徴として挙げられます。格差というのは情報や交渉力、経験、資金力などです。
これらの格差によって消費者が誤認し、不本意な契約を締結されられたりするという被害が発生します。例えば、訪問販売で契約したが思っていた内容と異なっていたり、必ず儲かると勧誘を受けて証券を購入したが、大損をしてしまったり、水道トラブルで業者を呼ぶと先に作業をされて後から高額な費用を請求されたりなどが例としてあります。また、現在は通信販売による定期購入のように、インターネットによる取引によって被害が発生していることが多いようです。
消費者被害を解決するには、民法だけでなく、消費者契約法や特定商取引法、割賦販売法など消費者保護のための各種の法令を適用していくように検討します。
これらの消費者契約法や特定商取引法、割賦販売法は消費者が不利な契約を結ばないよう規定し、不当な行為を行った事業者に対して行政処分や罰則を課すことで消費者を保護しています。
消費者契約法
まず、消費者契約法は、消費者と事業者との契約であれば、労働契約を除き消費者契約法が要件に該当すれば適用され、消費者被害の回復に役立ちます。
特に、取引の形態からクーリング・オフが使えなかったり、クーリング・オフの行使期間を過ぎていても消費者契約法を用いることで取消しができたりすることもあるため、検討が必要です。高齢者の独居の方も近くに相談できる方がいれば、まずは話しを聞いてもらった方がいいと思われます。
特定商取引法
クーリング・オフが使えるかどうかは特定商取引法によります。
特定商取引法は、消費者と事業者との契約の中で、特にトラブルになりやすい訪問販売など7つの契約について規制がされています。一定の期間内であれば、無条件で契約を解除できるクーリング・オフという制度があります。消費者にとって不意打ちになりそうな取引類型を特定商取引として、事業者に対して規制をしています。
これには訪問販売、通信販売、電話勧誘販売、連鎖販売取引(マルチ商法)、エステなどの特定継続的役務提供、モニター商法等といった業務提供誘引販売取引、訪問購入の7類型、そしてネガティブオプション(送り付け商法)について規制されています。
注意点として、通信販売にはクーリングオフがありません。商品引渡し又は特定権利の移転を受けた日から8日間は申込みの撤回や売買契約の解除ができるとされていますが、事業者が返品に関する特約などしていると、その特約に従うこととなります。
割賦販売法
割賦販売法は民法の特別法で、商品等の売買代金等の分割払いに関するルールとされています。
例えば、クレジットカードを利用したショッピングなどがあり、カード会社が当事者に加わってきます。そのため、取引が複雑になることからルールを明確化し、消費者が不利益を受けることを防ぐため、割賦販売法により規制がなされています。
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